使役表現 ให้・ทำให้
第5部 ・ 第40章
ให้ hâi (意志的に人に〜させる)と ทำให้ tham-hâi (結果的に〜という状態を引き起こす)を区別して使える。日本語の「〜させる/〜てもらう/〜のせいで/〜のおかげで」をタイ語に変換できる。
第28章で ให้hâi の3つの顔を見ました。そのうち「③〜させる」を、この章で正面から扱います。あわせて、無生物を主語に立てられる ทำให้tham-hâi を学びます。この2つを押さえると、「雨のせいで渋滞した」「そのおかげで理解できた」といった、原因と結果を一文にまとめる言い方が一気に使えるようになります。
この章のゴール:ให้hâi (意志的に人に〜させる)と ทำให้tham-hâi (結果的に〜という状態を引き起こす)を区別して使える。日本語の「〜させる/〜てもらう/〜のせいで/〜のおかげで」をタイ語に変換できる。
40-1ให้+人+動詞 ── 指示・依頼・許可をまとめて表す
第28章で見たとおり、ให้hâi のうしろが〔人+動詞〕になると使役になります。形は非常に単純です。
| หัวหน้า | + | ให้ | + | ผม | + | ทำ | + | รายงาน |
| させる人 | 使役 | する人 | 動詞 | 目的語 |
〔ให้+人+動詞〕。ให้ の直後には必ず「動作をする人」が来る。
ひとつの形が3つの意味になる
ここが日本語話者のつまずきどころです。ให้hâi の使役には、日本語なら別々の言い方になる3つの意味が同居しています。
| 意味 | 日本語 | 力関係 |
|---|---|---|
| ① 指示・命令 | 〜させる/〜するように言う | 上 → 下 |
| ② 依頼 | 〜してもらう | 対等・下 → 上 |
| ③ 許可 | 〜させてやる/〜してよいと言う | 上 → 下 |
「指示なのか依頼なのか許可なのか、どうやって区別するのですか」── よく出る質問ですが、タイ語話者は区別していません。〔ให้+人+動詞〕は「Aの働きかけによってBが動詞をする」という関係を示すだけで、その働きかけが命令だったか頼みごとだったかは、上下関係と場面が決めます。日本語が「させる/してもらう/させてあげる」と3つに分けているほうが特殊なのです。タイ語を作るときは、日本語のどれを言いたいのかを忘れて、「誰の働きかけで、誰が、何をしたか」だけを並べる。これが最短ルートです。
否定 ── ไม่ให้ は「させない・禁止する」
否定の ไม่mâi は ให้ の前に置きます。〔ไม่ให้+人+動詞〕で「〜させない・〜することを許さない」になります。
⚠ 〔動詞+ให้+人〕は使役ではありません
第28章で学んだ受益の ให้ と、位置がまぎらわしいので整理します。
- ให้+人+動詞=使役。phǒmhâikhǎosòng(私は彼に送らせる)
ผมให้เขาส่ง
- 動詞+ให้+人=受益。phǒmsònghâikhǎo(私が彼に送ってあげる)
ผมส่งให้เขา
語順が入れ替わるだけで、動作をする人が正反対になります。ให้hâi を見たら、まずその前に動詞があるかどうかを確認してください。前に動詞があれば受益、なければ使役です。
40-2ทำให้ ── 結果としてそうさせる
ทำให้tham-hâi は「する(ทำtham )」+「与える(ให้hâi )」から生まれた複合語で、あることが原因となって、ある状態
が生じることを表します。日本語では「〜させる」のほか、「〜のせいで」「〜のおかげで」「〜によって」とも訳されます。
| ฝน | + | ทำให้ | + | รถ | + | ติด |
| 原因(物・事でよい) | 引き起こす | 影響を受けるもの | 動詞・形容詞 |
主語が人でなくてよいのが ทำให้ の最大の特徴。
影響を受けるものが文脈から明らかなときは、省いて〔ทำให้+動詞・形容詞〕だけでも使えます。
日本語は「〜のせいで」と「〜のおかげで」を、良い結果か悪い結果かで言い分けます。タイ語の ทำให้tham-hâi には、この価値判断が入っていません。良いことにも悪いことにも同じ ทำให้ を使い、良し悪しはうしろの動詞や形容詞が示します。
るのがタイ語の発想です。
40-3ให้ と ทำให้ の決定的な違い
2つの語は日本語ではどちらも「〜させる」と訳せてしまうため、混同が起きます。違いは次の一点です。
見分けの一点
- ให้=人が人に働きかける。主語は必ず人(または組織)。「言った・頼んだ・許した」という意志的な行為があ
る。
- ทำให้=ある事柄が結果を生む。主語は人でも物でも出来事でもよい。意志は関係ない。
| ให้ | ทำให้ | |
| 主語 | 人・組織のみ | 人・物・出来事・天候など何でも |
| 意志 | あり(指示・依頼・許可) | なし(結果として) |
| うしろ | 人+動詞 | (人・物+)動詞または形容詞 |
| 日本語 | 〜させる/〜してもらう/〜させてやる | 〜させる(結果)/〜のせいで/〜のおかげで |
| 例 | ให้เขาไป | ทำให้เขาโกรธ |
主語が人であっても、意志的な指示なのか結果なのかで使い分けます。
⚠ 感情・状態の変化は必ず ทำให้
怒る・悲しむ・驚く・疲れる・満足する ── こうした感情や状態は、命じてそうさせるものではありません。したがって ให้ではなく ทำให้ を使います。
40-4使役を細かく言い分ける ── บังคับให้・สั่งให้・ปล่อยให้
ให้hâi だけでは強制なのか放任なのか分かりません。はっきりさせたいときは、ให้ の前に働きかけの動詞を置きます。こ
れがタイ語で使役のニュアンスを作る方法です。
| 形 | 発音 | 意味 | 例 |
|---|---|---|---|
| บังคับให้ | bang-kháp hâi | 強制して〜させる | บังคับให้ทำงาน |
| สั่งให้ | sàng hâi | 命じて〜させる | สั่งให้ส่งของ |
| บอกให้ | bɔ̀ɔk hâi | 〜するように言う | บอกให้รอ |
| ขอให้ | khɔ̌ɔ hâi | 〜するようお願いする | ขอให้ช่วย |
| ปล่อยให้ | plɔ̀i hâi | 〜するに任せる・放っておく | ปล่อยให้รอ |
| ชวนให้ | chuan hâi | 〜する気にさせる・誘う | ชวนให้คิด |
| ช่วยให้ | chûai hâi | 〜できるようにする(助力) | ช่วยให้เข้าใจ |
| อยากให้ | yàak hâi | 〜してほしい | อยากให้คุณมา |
連れて行く・持って行く ── พา と เอา
「人を連れて行く」は使役ではなくพาphaa (連れる)を使います。第28章の方向補助動詞と組み合わせます。物なら
เอาao です。
40-5使役受動 ──「〜させられる」
| 第39章の受動と組み合わせると「〜させられる」が作れます。形は | ถูก/โดน+บังคับให้+動詞 | です。ให้ 単独ではなく |
บังคับbang-kháp や สั่งsàng を挟むのがふつうです。
| ผม | + | ถูก | + | บังคับ | + | ให้ | + | ทำงาน |
| 受動 | 強制する | 使役 | 動詞 |
受動+使役の二重構造。日本語の「働かされる」に当たる。
ให้ を直接使うと失礼になる場面
〔ให้+人+動詞〕は上から下への働きかけが基本の響きを持ちます。部下や後輩には自然ですが、取引先・目上・年長者に使うと「命じた」ことになり、非常にきつく聞こえます。
✗ 見積りを送ってください。(取引先に)
言い換えの型は3つ。いずれも第27章・第28章で学んだ道具です。
- ช่วย…ให้หน่อย(手伝ってください)── いちばん汎用
- รบกวน…หน่อย(お手数ですが)── より丁寧
- อยากให้…(〜していただきたい)── 社内の指示をやわらげる
逆に、部下への明確な指示では ให้ や สั่งให้ を使い切るほうが親切です。タイの職場では指示があいまいだと動けません。丁寧さと明確さは別問題だと考えてください。
40-6日本語からの逆引き
日本語の使役・受益・原因表現が、タイ語のどの形に対応するかをまとめます。
| 日本語 | タイ語の形 | 例 |
|---|---|---|
| 〜させる(指示) | ให้+人+動詞/สั่งให้ | ให้เขาทำ hâi khǎo tham |
| 〜させる(強制) | บังคับให้+動詞 | บังคับให้ทำ bang-kháp hâi tham |
| 〜させておく・放置 | ปล่อยให้+動詞 | ปล่อยให้รอ plɔ̀i hâi rɔɔ |
| 〜させる(結果) | ทำให้+動詞・形容詞 | ทำให้โกรธ tham-hâi kròot |
| 〜してもらう(頼んで) | ให้+人+動詞 | ให้เขาแปล hâi khǎo plɛɛ |
| 〜してもらう(好意) | 人+動詞+ให้+私 | เขาแปลให้ผม khǎo plɛɛ hâi phǒm |
| 〜してほしい | อยากให้+人+動詞 | อยากให้คุณมา yàak hâi khun maa |
| 〜のせいで | ทำให้+悪い結果 | ทำให้แย่ลง tham-hâi yɛ̂ɛ long |
| 〜のおかげで | ทำให้/ช่วยให้+よい結果 | ช่วยให้เข้าใจ chûai hâi khâo-jai |
| 〜させられる | ถูก/โดน+บังคับให้+動詞 | ถูกบังคับให้ทำ thùuk bang-kháp hâi tham |
| 連れて行く/来る🇯🇵 | พาไป/พามา | พาลูกค้าไป phaa lûuk-kháa pai |
| 〜するよう伝える | บอกให้+人+動詞 | บอกให้เขารอ bɔ̀ɔk hâi khǎo rɔɔ |
第28章でも触れましたが、ここで完成させます。日本語の「手伝ってもらった」は、誰が頼んだのかを言いません。タイ語ではそこを決めなければなりません。
会話1 指示と依頼
| 課長 | クンケーンポムヤークハイクンパイポップルークカープルンニークラップ |
ケンさん、明日お客様に会いに行っていただきたいのですが。
| ケン | ダーイクラップハイポムアオトゥアヤーンパイドゥアイマイクラップ |
承知しました。サンプルも持っていきましょうか。
ええ。それと製造部に品を準備するよう伝えておいてください。
はい。ただ、仕事が多くて少し遅れるかもしれないと言っていました。
では、私からこれを先にやるよう指示します。
ありがとうございます。お客様には納品日をずらしていただけないかお願いしてみます。
いいですね。お客様を長く待たせないように。