仮定と条件
第5部 ・ 第41章
ถ้า…ก็… thâa…kɔ̂ɔ… の呼応を正しく作れる。条件・時間・譲歩・反実仮想を言い分け、ビジネスの場で条件付きの提案ができる。
「もし雨が降ったら」「値段が下がれば」「たとえ高くても」── 条件は、交渉でも日常でも欠かせません。タイ語の条件文は形そのものは単純ですが、日本人学習者は決まって2つのところで転びます。後ろの節の ก็kɔ̂ɔ を落とすことと、条件節に จะjà を入れてしまうことです。この章では、この2点を軸に条件表現を整理します。
この章のゴール:ถ้า…ก็… thâa…kɔ̂ɔ… の呼応を正しく作れる。条件・時間・譲歩・反実仮想を言い分け、ビジネスの場で条件付きの提案ができる。
41-1ถ้า…ก็… ── 呼応がすべて
「もし〜なら」の中心は ถ้าthâa です。第37章で型だけ見ましたが、ここで完成させます。条件節の頭に ถ้าthâa 、主節の主語のうしろに ก็kɔ̂ɔ 。この2つが対になります。
| ถ้า | + | 条件節 | → | 主語 | + | ก็ | + | (จะ)+主節 |
| もし | それなら |
ก็ は文頭ではなく主語のうしろ。จะ が入るのは主節だけ。
ก็ を落とすと文が宙に浮く
日本語には ก็kɔ̂ɔ に当たる語がありません。ですから最初は必ず落とします。落としても意味は通じますが、タイ人には言いかけて止めたように聞こえます。
✗ もし雨が降ったら行きません。
✓ もし雨が降ったら行きません。
覚え方はひとつ。「もし」と言ったら「それなら」と受ける。日本語で「もし雨が降ったら、そのときは行きません」と言うときの「そのときは」が ก็kɔ̂ɔ だと考えてください。
条件節に จะ を入れてはいけない
これがもうひとつの難所です。日本語で「もし雨が降るなら」と現在形にするのと同じく、タイ語も条件節では未来の
จะjà を使いません。まだ起きていないことは ถ้า が示しているので、จะ は不要なのです。
⚠ ただし譲歩の ถึงแม้ว่า では จะ が入る
ややこしいのですが、譲歩の ถึงแม้ว่าthɯ̌ ng-mɛ́ɛ-wâa (〜だとしても)では、従属節に จะjà が入るのがふつうです。
たとえ雨が降っても私は行きます。
なぜ違うのか。ถ้าthâa は「起きるかどうか分からない」ことを述べるので、実現の見込みを示す จะ とぶつかります。一方
ถึงแม้ว่าthɯ̌ ng-mɛ́ɛ-wâa は「起きるとしても」と実現をいったん認める言い方なので、จะ と相性がよいのです。
実務的には ถ้า には จะ を入れない、ถึงแม้ว่า には入れてよいと覚えれば十分です。
41-2文体の階段 ── ถ้า・ถ้าหาก・หาก・ในกรณีที่
「もし」に当たる語は複数あり、話しことばから公文書まで階段状に並びます。意味はほぼ同じで、違いは文体の硬さだけです。
| 語 | 発音 | 硬さ | 使う場面 |
|---|---|---|---|
| ถ้า | thâa | ふつう | 会話・メール・あらゆる場面 |
| ถ้าหาก / ถ้าหากว่า | thâa-hàak / thâa-hàak-wâa | やや硬い | 丁寧なメール・提案書 |
| หาก | hàak | 硬い | 書きことば・契約書・公示 |
| ในกรณีที่ | nai kɔɔ-rá-nii thîi | 非常に硬い | 契約書・規定・「〜の場合は」 |
ビジネスでは、相手に選択肢を渡す形で条件を出すと角が立ちません。
- ถ้าสะดวก(ご都合よろしければ):thâasà-dùakchûaitɔ̀ɔpphaai-naiwan-sùknɔ̀ikhráp
ถ้าสะดวกช่วยตอบภายในวันศุกร์หน่อยครับ
- ถ้าเป็นไปได้(可能であれば):thâapen-pai-dâaiyàakhâisòngkɔ̀ɔnsîn-dɯankhráp
ถ้าเป็นไปได้อยากให้ส่งก่อนสิ้นเดือนครับ
- ถ้าไม่รังเกียจ(差し支えなければ):thâamâirang-kìatkhɔ̌ɔduusǎn-yaanɔ̀idâaimǎikhráp
ถ้าไม่รังเกียจขอดูสัญญาหน่อยได้ไหมครับ
いずれも条件節を先に置いて、要求を後ろに回す点が共通です。要求を先に言ってから条件を足すと、押しつけの響きになります。
41-3条件か、時間か ── ถ้า・เมื่อ・พอ・เวลา
日本語の「〜たら」は、条件にも時間にも使えてしまいます。「雨が降ったら中止です」(条件)と「駅に着いたら電話します」(時間)は、日本語では同じ形ですが、タイ語では別の語になります。
| 語 | 発音 | 意味 | 実現するか |
|---|---|---|---|
| ถ้า | thâa | もし〜なら | 分からない(仮定) |
| เมื่อ | mɯ̂ a | 〜のとき | する前提(書きことば寄り) |
| พอ…ก็… | phɔɔ…kɔ̂ ɔ… | 〜するとすぐ | する前提 |
| เวลา | wee-laa | 〜するときはいつも | 習慣・一般論 |
日本語には条件を表す形が4つありますが、タイ語ではほぼ次のように整理できます。
- 〜たら(仮定)/〜れば/〜なら → ถ้าthâa …ก็kɔ̂ɔ …
- 〜たら(確定した時間) → พอphɔɔ …ก็kɔ̂ɔ …/เมื่อmɯ̂ a
- 〜と(いつも) → เวลาwee-laa …
- 〜ても → ถึงแม้thɯ̌ ng-mɛ́ɛ …ก็kɔ̂ɔ …
タイ語に置き換えるときは、日本語の語形ではなく「それは起きると決まっているか」を自問してください。決まっているなら พอphɔɔ /เมื่อmɯ̂ a 、分からないなら ถ้าthâa です。
41-4反実仮想 ──「あのとき〜していたら」
英語には「もし知っていたら(実際は知らなかった)」を表す仮定法という専用の形があります。タイ語にはありません。動詞も変化しませんから、形の上では普通の条件文と区別が付きません。ではどうするか。ふつうは文脈で分かります。すでに終わった出来事について「もし〜だったら」と言えば、それは事実に反する仮定です。加えて、主節にคงkhong (きっと〜だろう)を入れると、実際にはそうならなかったという含みがはっきりします。
| ถ้า | + | 起きなかったこと | → | 主語 | + | ก็ | + | คงจะ |
| もし | 〜だっただろう |
คง(きっと)が「実際はそうでなかった」という気持ちを担う。
タイ語には仮定法がないと聞くと「区別できないのでは」と不安になりますが、実際には誤解はほとんど起きません。理由は2つあります。第一に、反実仮想は必ず過去の出来事について語るので、聞き手は状況を知っています。第二に、タイ語には คงkhong ・
น่าจะnâa-jà ・อาจจะàat-jà といった推量の語(第26章)が豊富にあり、これらが「実際とは違う話をしている」という信号に
なります。文法の形で示すか、語彙と文脈で示すか。どちらの言語も同じ情報を伝えており、担い手が違うだけなのです。
41-5譲歩 ──「〜だとしても」
条件を認めたうえで結論を変えない、という言い方です。ここでも ก็kɔ̂ɔ の呼応が必要です。
| 形 | 発音 | 意味 |
|---|---|---|
| ถึงแม้ว่า…ก็… | thɯ̌ng-mɛ́ɛ-wâa…kɔ̂ ɔ… | 〜だとしても |
| ถึง…ก็… | thɯ̌ng…kɔ̂ ɔ… | 同上(話しことば・短い形) |
| แม้…ก็… | mɛ́ɛ…kɔ̂ ɔ… | 同上(書きことば) |
| ไม่ว่า…ก็… | mâi-wâa…kɔ̂ ɔ… | 〜であろうと(疑問詞と組む) |
| …ก็ตาม | …kɔ̂ ɔ-taam | 〜であれ(列挙の後ろ) |
ไม่ว่าmâi-wâa は疑問詞(ใครkhrai ・อะไรà-rai ・เมื่อไหร่mɯ̂ a-rài ・ที่ไหนthîi-nǎi )と組んで「誰が〜しようと」「何が〜
であろうと」を作ります。日本語の「どんな〜でも」に当たります。
41-6否定条件と必要条件
「〜でなければ」── ถ้าไม่・ไม่งั้น・มิฉะนั้น
条件節を否定するにはถ้าไม่thâamâiを使います。一方、前の文全体を受けて「そうでないと」と続けるときは
ไม่งั้นmâi-ngán (話しことば)または มิฉะนั้นmí-chà-nán (書きことば)です。
「〜を除いて」と例外を示すには เว้นแต่ว่าwén-tɛ̀ɛ-wâa を使います。
「〜してはじめて」── ต้อง…ถึงจะ…
必要条件、つまり「これを満たさなければ成立しない」を表す型です。ต้องtɔ̂ng (〜しなければ)で条件を述べ、
ถึงจะthɯ̌ ng-jà (そうしてはじめて)で結果を導きます。
| ต้อง | + | 条件 | → | ถึงจะ | + | 結果 | + | ได้ |
| 〜しなければ | はじめて |
結果の末尾に ได้(できる)が付くことが多い。
条件表現の型
- ถ้า…ก็…=もし〜なら。条件節に จะ を入れない。主節の จะ は入れてよい。
- 硬さの階段:ถ้า < ถ้าหาก < หาก < ในกรณีที่。
- 実現が決まっていれば พอ…ก็…/เมื่อ、習慣なら เวลา。ถ้า は使わない。
- 反実仮想は専用の形がない。ก็คงจะ… で「実際は違った」を示す。
- 譲歩:ถึงแม้ว่า…ก็…/ไม่ว่า…ก็…。従属節に จะ が入ってよい。
- 否定条件:ถ้าไม่…/ไม่งั้น(話)/มิฉะนั้น(書)。必要条件:ต้อง…ถึงจะ…ได้。
41-7会話で使う条件の決まり文句
最後に、ほぼそのまま覚えて使える表現を挙げます。どれも ถ้าthâa で始まる短い句です。
| タイ語 | 発音 | 意味 |
|---|---|---|
| ถ้าเป็นไปได้ | thâa pen-pai-dâai | 可能であれば |
| ถ้าสะดวก | thâa sà-dùak | ご都合がよろしければ |
| ถ้าไม่รังเกียจ | thâa mâi rang-kìat | 差し支えなければ |
| ถ้ามีอะไร | thâa mii à-rai | 何かありましたら |
| ถ้าอย่างนั้น / ถ้างั้น | thâa yàang-nán / thâa-ngán | それなら・では |
| ถ้าจำเป็น | thâa jam-pen | 必要であれば |
| ถ้าไม่ได้จริงๆ | thâa mâi dâai jing-jing | どうしても無理なら |
会話1 条件付きの値引き交渉
| ケン | ターラオサンハーローイチンロットラーカーハイダーイマイクラップ |
500個注文したら、値引きしていただけますか。
500個を超えるご注文でしたら、5パーセント値引きできます。
では、7日以内に支払った場合はどうですか。
早くお支払いいただければ、さらに2パーセント引きます。ただし契約書に署名いただいてはじめて生産に入れます。
承知しました。納期に間に合わない場合はどうなりますか。
事前にご連絡いたします。連絡しなかった場合は、責任を負わせていただきます。
では上司と話して、明日お返事します。
ご都合よろしければ、正午までにお返事いただけますか。