関係詞 ที่ と複雑な名詞句
第4部 ・ 第36章
ที่ thîi を使って名詞に節を後置でき、ซึ่ง sɯ̂ ng ・ผู้ phûu との違いがわかる。前置詞を含む関係節を正しく作れ、日本語の長い連体修飾をタイ語の語順に組み替えられる。
第13章で、名詞を文で説明するときは後ろに ที่thîi を置く、と予告しました。この章はその全面展開です。英語の who /which / that / where をすべて ที่thîi ひとつで済ませられる ── タイ語の文法でいちばん「お得」な部分です。ここを越えると、言えることが一気に増えます。
この章のゴール:ที่thîi を使って名詞に節を後置でき、ซึ่งsɯ̂ ng ・ผู้phûu との違いがわかる。前置詞を含む関係節を正しく作れ、日本語の長い連体修飾をタイ語の語順に組み替えられる。
36-1関係節は、必ず名詞の後ろに置く
日本語で「昨日来た人」と言うとき、説明(昨日来た)が名詞(人)の前に来ます。タイ語はその正反対で、説明は必ず後ろです。第13章で学んだ「修飾は後置」という原則が、節のレベルでもそのまま働きます。つなぎ役が ที่thîi です。名詞のすぐ後ろに ที่thîi を置き、そのまま文を続けるだけ。この語は形を変えません。人でも物でも場所でも、主語でも目的語でも、いつも ที่thîi です。
| 名詞 | + | ที่ | + | 主語 | + | 動詞 | + | … |
| 核 | 関係詞 |
核の名詞が先。thîi のあとには、ふつうの文がそのまま続く。
主格の関係節 ── 名詞が「〜する側」
核となる名詞が、関係節の中で主語の役をするタイプです。ที่thîi の直後には動詞が来ます。
目的格の関係節 ── 名詞が「〜される側」
核の名詞が関係節の中で目的語の役をするタイプです。ที่thîi の直後に別の主語が来ます。英語なら which / that に当たりますが、タイ語では同じ ที่thîi のままです。
は、まず「本」と言ってしまってから説明を足します。この差は聞き取りに直結します。タイ語では最初の名詞が話の中心だと決まっているので、そこを聞き逃さなければ、あとの説明が長くても迷子になりません。日本語に訳すときは、ที่thîi 以下を全部読んでから前に回して訳す ── この「くるり」の動作を体に入れましょう。
場所・時・理由の関係節も同じ形
英語なら where / when / why と使い分けるところも、タイ語は ที่thîi のままです。核の名詞が場所なら「〜する場所」、時なら「〜するとき」と自然に読めます。
まとめ ── 関係節の作り方
- 順序は必ず 名詞 + ที่thîi + 節。名詞が先、説明が後。
- ที่thîi は人・物・場所・時のどれでも同じ形。格による変化もない。
- 核の名詞が節の中で果たす位置(主語/目的語)は空けておく。代名詞で埋めない。
- 関係節の中には、時制の語(จะjà ・แล้วlɛ́ɛo ・กำลังkam-lang )もふつうに入れられる。
36-2ที่ を省略できるとき、できないとき
会話では ที่thîi が落ちることがあります。ただし条件があり、やみくもに省くと文が壊れます。迷ったら省略しないのが安全です。
省略できる ── 節が短く、意味が形容詞に近いとき
関係節が動詞ひとつ、しかも状態を表す語(形容詞)の場合は、そのまま後置しても関係節と同じ意味になります。これは実質、第13章の形容詞後置と同じ形です。
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省略できない ── 節が自分の主語を持つとき
関係節に別の主語がある(目的格の関係節)場合、ที่thîi を落とすと、名詞が2つ並んだだけの複合名詞に見えてしまいます。
数量や指示詞を伴う名詞句に関係節を付けるときは、ที่thîi が切れ目の標識として働くので必ず残します。
ここで ที่thîi を抜くと、นี้níi のあとに文がぶら下がる不自然な形になります。
36-3ซึ่ง ・อัน ・ผู้ ── 書きことばの関係詞
会話は ที่thîi だけで足ります。しかし新聞・契約書・社内文書を読むと、別の3語が出てきます。使い分けは意味というより文体と機能の差です。
| 語 | 発音 | 文体 | 働き |
|---|---|---|---|
| ที่ | thîi | 話・書とも | 万能。制限的(どれのことかを絞る) |
| ซึ่ง | sɯ̂ ng | 書きことば | 非制限的(付け足しの説明)。文をつなぐ働きも |
| อัน | an | 改まった・文語 | 慣用句の中に残る。自分から作らなくてよい |
| ผู้ | phûu | 改まった | 核が人のときだけ。ผู้ที่phûu-thîi /ผู้ซึ่งphûu-sɯ̂ ng の形も |
ซึ่งsɯ̂ ng ── 「なお、それは〜」の付け足し
ที่thîi が「どの〜か」を絞るのに対し、ซึ่งsɯ̂ ng はすでに特定できている物事に説明を足します。日本語の「〜であるが、
それは」に近く、書きことば専用と考えてください。
ผู้phûu ── 人に限る、改まった言い方
第13章で見た接頭辞の ผู้-phûu- (〜する人)が、そのまま関係詞としても使われます。核が人のときだけ使え、公的な文書や式辞で好まれます。
社内通知は ผู้ที่phûu-thîi 、雑談は คนที่khon-thîi
まったく同じ内容でも、貼り紙や一斉メールでは ผู้ที่phûu-thîi 、同僚との会話では คนที่khon-thîi を使います。คนkhon を公式文書に使うと少しくだけて響き、ผู้phûu を雑談で使うと硬すぎて他人行儀に聞こえます。迷ったら、書くときは ผู้phûu 、話すときは คนkhon 。この二択で当面は困りません。
36-4前置詞を伴う関係節 ── 前置詞は節の末尾に残る
ここが本章最大の山です。「私が働いている会社」「私が話した人」のように、もとの文に前置詞があった場合、その前置詞はタイ語では節の最後に置き去りにされます。前に出しません。
| บริษัท | + | ที่ | + | ผม | + | ทำงาน | + | อยู่ |
| 会社 | 残る |
もとの文 phǒm tham-ngaan yùu thîi bɔɔ-rí-sàt から核の名詞を前に出すと、末尾に yùu が残る。
英語の of which / with whom のように前置詞を関係詞の前に出す言い方は、タイ語にはありません。
コツは、まずふつうの文を作り、核の名詞を抜いて前に出すこと。抜いたあとに残ったものはそのままの順で置いておきます。
36-5คนที่ ・สิ่งที่ ・เรื่องที่ の型
日本語の「〜する人」「〜すること」「〜する場所」は、タイ語では中身の薄い名詞+ที่thîi という決まった型になります。これを覚えると、抽象的なことが一気に言えるようになります。
| 型 | 発音 | 日本語 | 核の名詞のもとの意味 |
|---|---|---|---|
| คนที่ | khon-thîi | 〜する人 | 人 |
| 型 | 発音 | 日本語 | 核の名詞のもとの意味 |
|---|---|---|---|
| ผู้ที่ | phûu-thîi | 〜する方(改まった) | 人 |
| สิ่งที่ | sìng-thîi | 〜すること・〜するもの | もの(抽象) |
| ของที่ | khɔ̌ɔng-thîi | 〜する品物 | もの(具体) |
| เรื่องที่ | rɯ̂ ang-thîi | 〜する件・〜という話 | 事柄・話 |
| ที่ที่ | thîi-thîi | 〜する場所 | 場所 |
| เวลาที่ | wee-laa-thîi | 〜するとき | 時間 |
| ตอนที่ | tɔɔn-thîi | 〜するころ・〜する場面 | 時点 |
| เหตุผลที่ | hèet-phǒn-thîi | 〜する理由 | 理由 |
| วิธีที่ | wí-thii-thîi | 〜する方法 | 方法 |
「〜すること」に困ったら สิ่งที่sìng-thîi
日本語の「〜すること」は、第13章の การ-kaan- /ความ-khwaam- でも表せます。使い分けはこうです。・การ-kaan- /ความ-khwaam- = 行為・状態そのもの(学習・安全)。・สิ่งที่sìng-thîi = 具体的な中身を指す「〜する事柄」。「私が言いたいこと」は中身を指すので สิ่งที่sìng-thîi 。「話すこと(行為)は難しい」なら การพูดkaan-phûut です。
36-6修飾語が重なる名詞句 ── 並べる順序と読み下し
第13章で、修飾語の順序は 名詞 → 形容詞 → 所有 → 数量 → 指示詞 → 関係節 と学びました。関係節はこの列のいちばん最後に来ます。長い名詞句を作るときは、この順序が唯一のよりどころです。
| หนังสือ | + | เล่มใหญ่ | + | สีแดง | + | ที่ผมซื้อเมื่อวาน |
| 本 | 大きい | 赤い | 関係節 |
性質を表す短い語ほど名詞の近くへ。節はいちばん外側。
読むときのコツは、切れ目を ที่thîi で入れることです。タイ語は分かち書きをしませんが、ที่thîi の直前が「核+短い修飾」の終わりだと見当がつきます。訳すときは、ที่thîi 以下をまとめて前へ回します。
長い名詞句の読み下し3手順
- ① 先頭の名詞を押さえる。これが話の中心。ここだけで意味の8割が決まる。
☕• ② ที่thîi を探して切る。ที่thîi の前までが「名詞+短い修飾」、後ろが節。
- ③ 節を先に訳し、「〜する」を付けて①の前に置く。日本語に組み替えるのはここだけ。
理論上は無限です。関係節の中にさらに関係節を入れることもできます。
ただし実際のタイ語は、これほど長い名詞句を好みません。長くなりそうなら文を切るのがタイ人らしい書き方です。上の例なら「その人はある会社で働いている。私は以前そこにいた」と2文に分けます。読解では長い句に耐え、作文では短く切る── この非対称を意識してください。
36-7日本語の連体修飾をタイ語に組み替える
日本語からタイ語へ訳すときは、機械的な手順があります。① 何の話かを見つける ② それを先頭に置く ③ 残りを ที่thîiでつなぐ。この3手だけです。
| 日本語 | 核 | タイ語 |
|---|---|---|
| 昨日会議に来た人 | 人 | คนที่มาประชุมเมื่อวาน |
| 私が読んでいる本 | 本 | หนังสือที่ผมอ่านอยู่ |
| 彼が住んでいる家 | 家 | บ้านที่เขาอยู่ |
| 私が働いている会社 | 会社 | บริษัทที่ผมทำงานอยู่ |
| あなたが言ったこと | こと | สิ่งที่คุณพูด |
| 私が行きたい場所 | 場所 | ที่ที่ผมอยากไป |
| 彼が遅れた理由 | 理由 | เหตุผลที่เขามาสาย |
会話1 人と場所を特定する
| ケン | クンナームクラップコンティーナンユーカーンプラトゥークークライクラップ |
ナームさん、ドアのそばに座っている人はどなたですか。
日本から来られた顧客です。
昨日電話で話した相手ですよね。
はい。彼が話したがっている件は新製品の価格です。
私たちが会議をする部屋は何階ですか。
3階です。長い机がある大きい部屋です。
💼ケン
コープクンマーククラップ
どうもありがとうございます。議事録で効く ตามที่taam-thîi と เรื่องที่rɯ̂ ang-thîi
報告や議事録では、次の2つが頻出します。
どちらも「名詞+ที่thîi +節」の型です。ตามที่taam-thîi は前置詞 ตามtaam (〜に従って)に関係節が付いた形で、メールの冒頭に置くと一気に業務文書らしくなります。