前置詞(2)手段・目的・範囲
第4部 ・ 第31章
กับ kàp と และ lɛ́、ด้วย dûai と โดย dooi 、ให้ hâi と สำหรับ sǎm-ràp と เพื่อ phɯ̂ a を使い分け、範囲・手段・目的を過不足なく言える。
場所の次は、「誰と」「何で」「何のために」「いつからいつまで」。ここで扱う語は、そのままビジネス文書の骨格になります。数は多く見えますが、多くは第30章と同じく名詞・動詞が薄まったものです。似た語の使い分けを、意味の中心から整理していきましょう。
この章のゴール:กับkàp と และlɛ́、ด้วยdûai と โดยdooi 、ให้hâi と สำหรับsǎm-ràp と เพื่อphɯ̂ a を使い分け、範囲・手段・目的を過不足なく言える。
31-1กับ と และ ── 「と」の2種類
日本語の「と」は、「A と B」(名詞をつなぐ)にも「彼と行く」(相手を示す)にも使えます。タイ語はこの2つを分けます。
| 語 | 発音 | 働き |
|---|---|---|
| กับ | kàp | ① 名詞と名詞を並べる ② 相手・対象を示す(〜と・〜に対して) |
| และ | lɛ | 名詞・句・文を並べる(改まった「および」) |
大きな違いはつなげる単位です。กับkàp がつなぐのは名詞だけ。それに対して และlɛ́ は名詞も、動詞句も、文全体もつなげます。
話しことばでは และ をあまり使わない
タイ語の会話では、名詞を並べるときに และlɛ́ をわざわざ入れないことがよくあります。sɯ́ ɯkhâaonáamphǒn-lá-mái のよう
ซื้อข้าวน้ำผลไม้
に、ただ並べるだけで通じます。
และlɛ́ は書きことば・改まった話しことばの語です。会議の議事録や契約書では頻出しますが、屋台で使うと少し硬く響きま
す。会話では กับkàp 、文書では และlɛ́ と割り切ると自然です。
相手を表す กับkàp の仲間として、ด้วยกันdûai-kan (いっしょに)も覚えておきましょう。raopaidûai-kan(私たちはいっ
เราไปด้วยกัน
しょに行く)のように、動詞のあとに添えます。
31-2ด้วย と โดย ── 手段をどう言うか
「何を使って」を表す語は2つあります。ここは日本人学習者が最も迷うところです。
| ด้วย | / | โดย |
| 道具・材料 | 方法・経路・行為者 |
手に持つものは ด้วย、やり方全体は โดย。境目はゆるやかで、重なる領域もある。
ด้วย ── 手に取れる道具
ด้วยdûai にはもうひとつ「〜も」という意味があります。文末に置くと「〜も・いっしょに」となり、こちらのほうが会
話では出番が多いくらいです。
โดย ── やり方・経路・行為者
日本語の助詞「で」は守備範囲が広く、タイ語では3つに分かれます。
- 場所の「で」(会社で働く)→ ที่thîi (第30章)
- 道具の「で」(ペンで書く)→ ด้วยdûai
- 方法・手段の「で」(電車で行く)→ โดยdooi
つけてください。
手段を言う3通り
「電車で行く」は、実は3通りの言い方があります。どれも正しく、響きが違います。
| 言い方 | 直訳 | 使う場面 |
|---|---|---|
| ไปโดยรถไฟ | 〔行く によって 電車〕 | やや改まった。書きことば・案内文 |
pai dooi rót-fai
| ไปด้วยรถไฟ | 〔行く を使って 電車〕 | 手段を強調。「わざわざ電車で」の含み |
pai dûai rót-fai
| นั่งรถไฟไป | 〔座る 電車 行く〕 | 会話ではこれが最も自然 |
nâng rót-fai pai
3つめが重要です。タイ語は乗り物を「乗る動詞+乗り物+行く」という連続動詞(第29章)で言うのが普通で、前置詞を使いません。座って乗るものは นั่งnâng (座る)、またがるものは ขี่khìi (またがる)を使います。
31-3ให้・สำหรับ・เพื่อ ── 「〜のために」の3語
日本語の「〜のために」も、タイ語では3つに割れます。何のあとに何が来るかで見分けます。
| ให้ | / | สำหรับ | / | เพื่อ |
| +人 | +名詞 | +動詞・目的 |
後ろに人が来れば ให้、物・用途が来れば สำหรับ、目的の行為が来れば เพื่อ。
⚠ ให้ を「あげる」だけで覚えない
ให้hâi は本書でくり返し出てくる語です。ここまでで少なくとも3つの顔がありました。
③ 使役「〜させる」── 第40章共通の中心は「相手のほうへ向ける」です。この一点をつかんでおけば、どの用法も同じ語に見えてきます。
แก่・แด่・ต่อ ── 改まった「〜に」
書きことばや式典では、ให้hâi の代わりに次の語を使います。話しことばで使うと大げさに響くので、読んで分かればよい語です。
| 語 | 発音 | 使い方 |
|---|---|---|
| แก่ | kɛ̀ɛ | 〜に(書面。目下・同等の相手や抽象的な対象に) |
| แด่ | dɛ̀ɛ | 〜に(最も改まる。目上・王族・故人へ献ずるとき) |
| ต่อ | tɔ̀ɔ | 〜に対して(態度・影響・責任の向き先) |
まとめ ① 相手・手段・目的
- 名詞をつなぐ・相手を示す=กับkàp /句や文もつなぐ=และlɛ́(書きことば寄り)
- 道具=ด้วยdûai /方法・経路・行為者=โดยdooi /会話の乗り物=นั่ง+乗り物+ไป
- 人に=ให้hâi /用途に=สำหรับsǎm-ràp /目的の行為に=เพื่อphɯ̂ a
- 改まった「〜に」=แก่kɛ̀ɛ แด่dɛ̀ɛ 、「〜に対して」=ต่อtɔ̀ɔ
31-4範囲を区切る ── ของ・จาก・ถึง・ตั้งแต่
ของ ── 所属
第13章で学んだとおり、ของkhɔ̌ɔng は所属を示します。日本語の「の」と順序が逆で、〔A khɔ̌ɔng B〕=「BのA」です。
で、ビジネス文書では入れるのが無難です。
จาก・ถึง・ตั้งแต่・จนถึง ── 起点と終点
| ตั้งแต่ | → | 起点 | … | 終点 | ← | จนถึง |
| 〜から | 〜まで |
時間・数量の範囲は ตั้งแต่ … จนถึง … で挟む。場所の起点・終点は จาก … ถึง …。
จาก と ตั้งแต่ の使い分け
どちらも「〜から」ですが、意識の向きが違います。
จากjàak は離れる起点。「そこを出発して」という移動の感覚があります(maajàakyîi-pùn 日本から来た)。
มาจากญี่ปุ่นตั้งแต่tâng-tɛ̀ɛ は始まる時点。「そこから継続している」という時間の感覚です(tâng-tɛ̀ɛcháao 朝から)。
ตั้งแต่เช้า
ですから「駅から歩く」は jàak、「先週から具合が悪い」は tâng-tɛ̀ɛ。場所なら จาก、時間なら ตั้งแต่ を第一候補にすれば大きく外しません。
31-5そのほかの重要な前置詞
| タイ語 | 発音 | 意味 | 例 |
|---|---|---|---|
| ตาม | taam | 〜に従って・〜のとおりに | ตามสัญญา taam sǎn-yaa 契約どおりに |
| เกี่ยวกับ | kìao-kàp | 〜について・〜に関して | เกี่ยวกับโครงการ kìao-kàp khroong-kaan プロジェクトについて |
| แทน | thɛɛn | 〜の代わりに | แทนผู้จัดการ thɛɛn phûu-jàt-kaan 部長の代わりに |
| นอกจาก | nɔ̂ ɔk-jàak | 〜のほかに・〜を除いて | นอกจากนี้ nɔ̂ɔk-jàak-níi このほかに |
| ยกเว้น | yók-wén | 〜を除いて(例外) | ยกเว้นวันอาทิตย์ yók-wén wan-aa-thít 日曜を除いて |
| ระหว่าง | rá-wàang | 〜の間(時間・関係) | ระหว่างประชุม rá-wàang prà-chum 会議中に |
| ภายใน | phaai-nai | 〜以内に | ภายในวันศุกร์ phaai-nai wan-sùk 金曜日までに |
| ภายใต้ | phaai-tâai | 〜のもとで(管理・条件) | ภายใต้สัญญา phaai-tâai sǎn-yaa 契約のもとで |
| ต่อ | tɔ̀ɔ | 〜に対して・〜あたり | ต่อคน tɔ̀ɔ khon 一人あたり |
タイ語のメールや社内文書を読むと、次の5語が毎回のように出てきます。この5語を知っているかどうかで、読解の速さが変わります。
10日の会議について
お打ち合わせのとおり
詳細は添付書類をご覧ください。
金曜日までにご返信ください。
この条件のもとで
ภายในphaai-nai は期限(〜以内に)で、ในnai (〜の中に)より締切の意味が強くなります。納期の話では必ずこちらを使っ
てください。
31-6日本語の助詞から引く
| 日本語 | タイ語 | 例 |
|---|---|---|
| 〜と(名詞を並べる・相手) | กับ | ไปกับเพื่อน pai kàp phɯ̂ an 友達と行く |
| 〜および(文書) | และ | ราคาและกำหนดส่ง raa-khaa lɛ́ kam-nòt sòng 価格および納期 |
| 〜で(道具) | ด้วย | เขียนด้วยปากกา khǐan dûai pàak-kaa ペンで書く |
| 〜で(交通手段・方法) | โดย/นั่ง…ไป | นั่งรถไฟไป nâng rót-fai pai 電車で行く |
| 〜によって(行為者) | โดย | ทำโดยทีมนี้ tham dooi thiim níi このチームによって |
| 〜の(所属) | ของ | รถของผม rót khɔ̌ɔng phǒm 私の車 |
| 〜から(場所) | จาก | จากสถานี jàak sà-thǎa-nii 駅から |
| 〜から(時間) | ตั้งแต่ | ตั้งแต่เช้า tâng-tɛ̀ɛ cháao 朝から |
| 〜まで | ถึง/จนถึง | ถึงเย็น thɯ̌ ng yen 夕方まで |
| 〜以内に | ภายใน | ภายในสามวัน phaai-nai sǎam wan 3日以内に |
| 〜について | เกี่ยวกับ | เกี่ยวกับงาน kìao-kàp ngaan 仕事について |
| 〜に従って | ตาม | ตามกฎ taam kòt 規則に従って |
| 〜のほかに | นอกจาก | นอกจากนี้ nɔ̂ɔk-jàak-níi このほかに |
31-7会話で確かめる
会話1 打ち合わせの段取り
| ケン | クンニットクラップポムヤーククイキアオカップクローンカーンマイクラップ |
ニットさん、新しいプロジェクトについて話したいのですが。
いいですよ。午後にチームと会議をしませんか。
いいですね。2時から4時まで空いています。
では2時に。会議室は3階です。
会議用の書類はメールで送ります。
ありがとうございます。今日中にお願いします。
はい。それと木曜は不在なので、代わりに行っていただけますか。
大丈夫です、問題ありません。
本章で見たとおり、タイ語の前置詞のほとんどは名詞か動詞から生まれています。ด้วยdûai はもと「伴う」、ให้hâi は「与える」、ตามtaam は「従う」、ถึงthɯ̌ ng は「到達する」。これは孤立語の宿命です。語形変化を持たない言語は、新しい文法機能を作るとき既存の語を転用するしかありません。この現象を言語学では文法化と呼びます。逆に言えば、前置詞に迷ったらもとの動詞の意味に戻るのが最短の解決策です。ตามสัญญาtaam sǎn-yaa は「契約に従う」、
เกี่ยวกับkìao-kàp は เกี่ยวkìao (引っかかる)+กับkàp (〜と)で「〜と引っかかっている」=「〜に関して」。語源が意味
の道しるべになります。
まとめ ② 範囲とビジネスの前置詞
- 所属=ของkhɔ̌ɔng (〔A ของ B〕=「BのA」)
- 場所の起点=จากjàak /時間の起点=ตั้งแต่tâng-tɛ̀ɛ /終点=ถึงthɯ̌ ng จนถึงjon-thɯ̌ ng
- 期限は ภายในphaai-nai (〜以内に)。ในnai とは別物。
- 文書の必修語:เกี่ยวกับkìao-kàp /ตามtaam /สำหรับsǎm-ràp /ภายในphaai-nai /ภายใต้phaai-tâai