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動詞述語文と否定

第2部 ・ 第15章

タイ語の動詞は、どんな場合でも形を変えません。主語が誰でも、時がいつでも、辞書に載っているそのままの姿で使います。覚えるべきは活用表ではなく、否定語をどこに置くかです。この章では、タイ語の否定を一通り身につけます。

この章のゴール:ไม่mâi (マイ) の位置を正しく決められる。ไม่mâi (マイ)・ไม่ได้mâi-dâai (マイダーイ)・ไม่ใช่mâi-châi (マイチャイ) を使い分けられる。

15-1動詞は変化しない

第1章で見たとおり、タイ語の動詞には活用がありません。人称でも数でも時制でも変わりません。次の4文の動詞

ไปpai はすべて同じ形です。

phǒmผมポム
paiไปパイ
私は行く。/私は行った。
khǎoเขาカオ
paiไปパイ
彼は行く。
英語の goes に当たる語尾変化はない。
khǎoเขาカオ
paiไปパイ
mɯ̂ a-waanเมื่อวานムアワーン
彼は昨日行った。
「昨日」という語を足すだけ。動詞はそのまま。
phǒmผมポム
jàจะヂャ
paiไปパイ
phrûng-níiพรุ่งนีプルンニー
私は明日行きます。
主語+動詞+目的語+場所・時+ครับ/ค่ะ

タイ語の平叙文の基本形。時を表す語は文末(強調するときは文頭)に置く。

phǒmผมポム
kinกินキン
khâaoข้าวカーオ
thîiที่ティー
bâanบ้านバーン
khrápครับクラップ
私は家でごはんを食べます。

15-2否定の基本 ── 動詞の直前に ไม่

タイ語の否定はきわめて単純です。否定したい動詞のすぐ前に ไม่mâi (マイ) を置く。それだけです。

ผม+ไม่+ไป+ตลาด
主語否定動詞目的語

ไม่ は動詞の直前。主語の前でも、目的語の後ろでもない。

phǒmผมポム
mâiไม่マイ
paiไปパイ
私は行きません。
khǎoเขาカオ
mâiไม่マイ
kinกินキン
nɯ́ aเนื้อヌア
彼は肉を食べません。
mâiไม่マイ
phǒmผมポム
paiไปパイ
✗私は行きません。
を主語の前に置くことはできない。
phǒmผมポム
paiไปパイ
mâiไม่マイ
✗私は行きません。
日本語の「行か・ない」の語順に引きずられた誤り。

助動詞がある文では、否定したい語の直前に置きます。ふつうは助動詞の前です。

phǒmผมポム
mâiไม่マイ
yàakอยากヤーク
paiไปパイ
私は行きたくありません。
phǒmผม
jàจะ
mâiไม่
paiไป

💡ポムヂャマイパイ

私は行かないつもりです。ไม่ の発音に注意

ไม่mâi は下声(â)です。高く始めて一気に落とす。うっかり平らに mai と言うと、意味が伝わりません。

きってから次の語に入ります。否定文は聞き取りの要ですから、この下がり方を体で覚えてください。

否定語を置く位置

15-3ไม่ と ไม่ได้ ── 「しない」と「しなかった」

日本人学習者がいちばん迷うのがここです。同じ「〜ない」でも、タイ語では2つの形があります。

形意味の中身日本語
ไม่ + 動詞意志・習慣・性質としてそうしない〜しない/〜しません
ไม่ได้ + 動詞実際にはその出来事が起きなかった〜しなかった/〜していない

ไม่ได้mâi-dâai は事実の否定です。「そういう事実はない」と述べる形。だから多くの場合、日本語の過去否定

に対応します。

phǒmผมポム
mâiไม่マイ
kinกินキン
nɯ́ aเนื้อヌア
私は肉を食べません。
習慣・主義として食べない。ベジタリアンの自己紹介など。
phǒmผมポム
mâi-dâaiไม่ได้マイダーイ
kinกินキン
nɯ́ aเนื้อヌア
私は肉を食べませんでした。/肉は食べていません。
その場面で実際に食べなかった、という事実の報告。
khǎoเขาカオ
mâiไม่マイ
maaมาマー
彼は来ません。(来るつもりがない)
khǎoเขาカオ
mâi-dâaiไม่ได้マイダーイ
maaมาマー
彼は来ませんでした。(来なかった)
phǒmผมポム
mâi-dâaiไม่ได้マイダーイ
phûutพูดプート
yàangอย่างヤーン
nánนั้นナン
私はそんなことは言っていません。
身に覚えのない話を否定するときの定型。誤解を解く場面で必須。

⚠ 「〜していません」は ไม่ได้

日本語で「まだ食べていません」「連絡していません」と言うとき、これは事実の否定です。ไม่mâi だけでは「食べる気がない」「連絡する気がない」という意志の否定に聞こえてしまいます。

phǒmผมポム
mâiไม่マイ
sòngส่งソン
ii-meenอีเมลイーメーン

✗ メールを送っていません。

「送らない主義だ」と聞こえかねない。

phǒmผม
mâi-dâaiไม่ได้
sòngส่ง
ii-meenอีเมล

🇯🇵ポムマイダーイソンイーメーン

✓ メールを送っていません(送りませんでした)。

⚠ ไม่ได้ไป と ไปไม่ได้

語順が入れ替わるだけで意味がまったく変わります。

mâi-dâaiไม่ได้
paiไป
paiไปパイ
mâi-dâaiไม่ได้マイダーイ

動詞の前にあれば事実の否定、後ろにあれば可能の否定。位置で覚えてください。

15-4ไม่ใช่ ── 名詞を否定する

否定するものが名詞のときは ไม่ใช่mâi-châi を使います。第14章で学んだ เป็นpen・คือkhɯɯ の否定形がこれです。

phǒmผมポム
mâi-châiไม่ใช่マイチャイ
nák-rianนักเรียนナックリアン
私は学生ではありません。
nîiนี่ニー
mâi-châiไม่ใช่マイチャイ
khɔ̌ɔngของコーン
phǒmผมポム
これは私のものではありません。

さらに ไม่ใช่mâi-châi は、文全体を否定して「そうではなくて」と訂正するのにも使えます。

mâi-châiไม่ใช่マイチャイ
wâaว่าワー
phǒmผมポム
mâiไม่マイ
chɔ̂ɔpชอบチョープ
好きではないというわけではありません。

15-5いろいろな否定 ── ยัง・ต้อง・ค่อย・เลย

ไม่mâi の前後に語を足すと、否定のニュアンスが細かく分かれます。会話で頻出するものを一気に見ましょう。

形発音意味
ยังไม่yang mâiまだ〜ない
ยังไม่ได้yang mâi dâaiまだ〜していない
ไม่ต้องmâi tɔ̂ ng〜しなくてよい・〜する必要はない
ไม่ค่อยmâi khɔ̂ iあまり〜ない
ไม่…เลยmâi … ləəiまったく〜ない
ไม่เคยmâi khəəi〜したことがない
ไม่มีmâi miiない・持っていない

ยังไม่ ── まだ〜ない

ยังyang(まだ)を ไม่mâi の前に置きます。「これからする可能性がある」という含みが出るので、断り方と

しても角が立ちません。

khǎoเขาカオ
yangยังヤン
mâi-dâaiไม่ได้マイダーイ
maaมาマー
彼はまだ来ていません。

ไม่ต้อง ── 〜しなくてよい

khunคุณクン
mâiไม่マイ
tɔ̂ngต้องトン
maaมาマー
kɔ̂ɔ-dâaiก็ได้コーダーイ
あなたは来なくてもいいですよ。
mâiไม่マイ
tɔ̂ngต้องトン
rîipรีบリープ
khrápครับクラップ
急がなくて大丈夫です。

ไม่ค่อย ── あまり〜ない

部分否定です。ค่อยkhɔ̂i 単独では使いません。会話では、はっきり否定するのを避けるやわらげ表現として非常によく使われます。

phǒmผมポム
mâiไม่マイ
khɔ̂iค่อยコイ
chɔ̂ɔpชอบチョープ
aa-hǎanอาหารアーハーン
phètเผ็ดペット
私は辛い料理があまり好きではありません。
khǎoเขาカオ
mâiไม่マイ
khɔ̂iค่อยコイ
phûutพูดプート
彼はあまりしゃべりません。

ไม่…เลย ── まったく〜ない

全否定です。เลยləəi を文末に置きます。強い否定なので、使いどころには注意してください。

phǒmผมポム
mâiไม่マイ
khâo-jaiเข้าใจカオヂャイ
ləəiเลยルーイ
私はまったく分かりません。

ビジネスでは ไม่ค่อย を味方にする

タイのビジネス文化では、正面から「ノー」と言うことを避けます。ไม่mâi だけで断ると、日本語の「無理です」に近い硬さが出ます。そこで ไม่ค่อยmâi khɔ̂i(あまり〜ない)や ยังไม่yang mâi(まだ〜ない)を使うと、相手の面子を保ったまま実質的に断ることができます。

raa-khaaราคาラーカー
níiนี้ニー
phǒmผมポム
yangยังヤン
mâiไม่マイ
nɛ̂ɛ-jaiแน่ใจネーヂャイ
khrápครับクラップ

15-6禁止の อย่า と、二重否定

「〜するな」という禁止は、ไม่mâi ではなく อย่าyàa を動詞の前に置きます。第27章で詳しく扱いますが、形だけ先に見ておきましょう。

อย่า+動詞+นะ
禁止やわらげ

อย่า は命令・依頼の否定。ไม่ は事実・意志の否定。役割が別。

yàaอย่าヤー
lɯɯmลืมルーム
náนะナ
khrápครับクラップ
忘れないでくださいね。
mâiไม่マイ
lɯɯmลืมルーム
náนะナ
✗忘れないでね。

二重否定

否定を重ねると、日本語と同じように控えめな肯定になります。

mâi-châiไม่ใช่マイチャイ
wâaว่าワー
mâiไม่マイ
yàakอยากヤーク
paiไปパイ
行きたくないというわけではありません。

15-7自動詞・他動詞と、動詞を並べること

タイ語では、自動詞と他動詞の区別が日本語ほどはっきりしていません。同じ動詞が、目的語を取ったり取らなかったりします。

prà-tuuประตูプラトゥー
pə̀ətเปิดプート
ドアが開いている。
khǎoเขาカオ
pə̀ətเปิดプート
prà-tuuประตูプラトゥー
彼がドアを開ける。

また、日本語なら目的語が要る動詞でも、タイ語では目的語を言わないのがふつうのものがあります。

phǒmผมポム
kinกินキン
khâaoข้าวカーオ
lɛ́ɛoแล้วレーオ
私はもう食事をしました。

さらにタイ語では、動詞をいくつも続けて並べることができます。これを連続動詞構文といい、第29章の主題です。否定するときは、いちばん前の動詞の前に ไม่mâi を置きます。

phǒmผมポム
paiไปパイ
sɯ́ ɯซื้อスー
khâaoข้าวカーオ
私はごはんを買いに行きます。〔私 行く 買う ごはん〕

会話1 昼休みのオフィスで

kheenเคน
kinกิน
khâaoข้าว
lɛ́ɛoแล้ว
rɯ̌ ɯ-yangหรือยัง
kháคะ
ナムケーンキンカーオレーオルーヤンカ

ケンさん、もう食事しましたか。

yangยัง
khrápครับ
phǒmผม
yangยัง
mâi-dâaiไม่ได้
kinกิน
khrápครับ
ケンヤンクラップポムヤンマイダーイキンクラップ

まだです。まだ食べていません。

paiไป
kinกิน
dûai-kanด้วยกัน
mǎiไหม
kháคะ
ナムパイキンドゥアイカンマイカ

一緒に食べに行きませんか。

diiดี
khrápครับ
tɛ̀ɛแต่
phǒmผม
mâiไม่
khɔ̂iค่อย
chɔ̂ɔpชอบ
aa-hǎanอาหาร
phètเผ็ด
khrápครับ
ケンディークラップテーポムマイコイチョープアーハーンペットクラップ

いいですね。ただ、辛い料理はあまり好きではないんです。

mâiไม่
tɔ̂ngต้อง
kang-wonกังวล
khâค่ะ
ráanร้าน
níiนี้
miiมี
aa-hǎanอาหาร
mâiไม่
phètเผ็ด
dûaiด้วย
khâค่ะ
ナムマイトンカンウォンカラーンニーミーアーハーンマイペットドゥアイカ

心配いりませんよ。この店には辛くない料理もあります。

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