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会食・接待・人間関係づくり

第6部 ・ 第52章

本書最後の章です。タイでの仕事は、会議室ではなく食卓で決まることが少なくありません。注文し、勧め、乾杯し、断り、支払い、別れぎわに次へつなぐ。この一連の流れをタイ語でこなせるかどうかが、その後の取引の質を左右します。最後の節には、本書を終えたあと何をすればよいかをまとめました。

この章のゴール:会食の場で注文・勧誘・辞退・会計ができ、別れぎわに関係を次へつなぐ一言が言えるようになる。そして本書を終えた後の学習の道筋がわかる。

52-1食卓がタイの商談室である

タイでは、一緒に食事をしていない相手は「まだ知らない人」です。会議を何度重ねても、一度も食事をしていなければ関係は始まっていないと見なされます。逆に一度食卓を囲めば、翌日からの連絡の速さがまったく変わります。これは接待という日本的な儀礼ではなく、相手を知るための手続きだと考えてください。食事の場では、仕事の話はむしろ後半か、あるいはまったく出ません。家族のこと、出身地、好きな食べ物、休みの過ごし方。日本の感覚では雑談に見えるやり取りが、実質的な与信調査になっています。ここで「面白くない人」と思われると、条件交渉でも譲ってもらえません。タイ料理は基本的に大皿を分け合う形式です。一人一膳の日本と違い、注文は「その場にいる全員のために」行います。誰が何を食べられるか(宗教・アレルギー・辛さ)を先に確かめる必要があるのはこのためです。

สนุก สบาย ── タイの二大価値

สนุกsà-nùk (楽しい)と สบายsà-baai (心地よい・楽である)は、タイ人の行動を理解する鍵の語です。仕事であれ食事であ

れ、この二つが欠けている場は「続ける意味がない」と判断されます。だから会食で終始まじめな顔をして数字の話をするのは、能力の証明ではなく危険信号です。逆に、少し笑い、少し自分の失

💼敗を話し、料理をおいしそうに食べる。それだけで「この人とは仕事ができる」と評価されます。

別れぎわの สนุกมากครับsà-nùk mâak khráp (とても楽しかったです)は、社交辞令ではなく最も伝わる感謝の言葉です。

52-2会食の必須表現

場面タイ語発音意味
注文สั่งอาหารsàng aa-hǎan料理を注文する
ขอเมนูหน่อยครับkhɔ̌ɔ mee-nuu nɔ̀i khrápメニューをください
แนะนำอะไรดีnɛ́-nam à-rai dii何がおすすめですか
เอาอันนี้ครับao an-níi khrápこれをください
制約を伝えるผมไม่กินเนื้อphǒm mâi kin nɯ́a牛肉は食べません
เผ็ดไหมครับphèt mǎi khráp辛いですか
ไม่เผ็ดนะครับmâi phèt ná khráp辛くしないでくださいね
ผมแพ้อาหารทะเลphǒm phɛ́ɛ aa-hǎan thá-lee魚介アレルギーです
場面タイ語発音意味
食事中อร่อยมากà-rɔ̀i mâakとてもおいしい
อิ่มแล้วครับìm lɛ́ɛo khrápもうお腹いっぱいです
ลองชิมดูสิครับlɔɔng chim duu sì khrápちょっと味見してみてください
ดื่มdɯ̀ɯm飲む
ชนแก้วchon kɛ̂ ɛo乾杯する(グラスを合わせる)
ไชโยchai-yoo乾杯!(かけ声)
ผมไม่ดื่มครับphǒm mâi dɯ̀ɯm khráp私は飲まないんです
会計เก็บเงินด้วยครับkèp ngən dûai khrápお会計をお願いします
คิดเงินด้วยครับkhít ngən dûai khrápお会計をお願いします(同義)
ผมเลี้ยงเองครับphǒm líang eeng khráp私がおごります
แชร์กันนะครับchɛɛ kan ná khráp割り勘にしましょう
別れぎわขอบคุณที่ให้การต้อนรับkhɔ̀ɔp-khun thîi hâi kaan tɔ̂ ɔn-rápご歓待ありがとうございました
ยินดีที่ได้ร่วมงานyin-dii thîi dâai rûam-ngaanご一緒できてうれしいです
💡ไว้เจอกันใหม่นะครับwái jəə kan mài ná khrápまたお会いしましょう
ฝากตัวด้วยนะครับfàak tua dûai ná khrápよろしくお願いします(今後とも)

เก็บเงิน คิดเงิน ── どちらでもよい

会計は เก็บเงินด้วยครับkèp ngən dûai khráp (お金を回収してください)でも คิดเงินด้วยครับkhít ngən dûai khráp (計算してください)でも通じます。屋台や食堂では เช็คบิลครับchék bin khráp も普通です。どれを使うかより、ด้วยdûai を付けることのほうが大事です。ด้วยdûai は「〜もお願いします」のニュアンスで、命令調をやわらげます(第27章)。เก็บเงินkèp ngən だけだと、ぶっきらぼうに響きます。

52-3モデル会話

会話1 取引先との会食 ── 注文から会計まで

chəənเชิญ
khrápครับ
khunคุณ
kheenเคน
nângนั่ง
trong-níiตรงนี้
ləəiเลย
khrápครับ

どうぞ、ケンさんはこちらへ。

khɔ̀ɔp-khunขอบคุณ
khrápครับ
ráanร้าน
níiนี้
nɛ́-namแนะนำ
à-raiอะไร
diiดี
khrápครับ

ありがとうございます。この店は何がおすすめですか。

tôm-yam-kûngต้มยำกุ้ง
thîiที่
nîiนี่
à-rɔ̀iอร่อย
mâakมาก
khrápครับ
tɛ̀ɛแต่
phètเผ็ด
นะ
khrápครับ

ここのトムヤムクンは絶品です。ただ辛いですよ。

phǒmผม
kinกิน
phètเผ็ด
dâaiได้
nít-nɔ̀iนิดหน่อย
khrápครับ
tɛ̀ɛแต่
phǒmผม
mâiไม่
kinกิน
nɯ́ aเนื้อ
khrápครับ

辛いものは少しなら大丈夫です。ただ牛肉は食べないんです。

dâaiได้
khrápครับ
ngánงั้น
sàngสั่ง
plaaปลา
kàpกับ
phàkผัก
dûaiด้วย
นะ
khrápครับ

承知しました。では魚と野菜も頼みましょう。

dɯ̀ ɯmดื่ม
à-raiอะไร
diiดี
khrápครับ
biaเบียร์
mǎiไหม
khrápครับ

お飲み物は。ビールはいかがですか。

wan-níiวันนี้
phǒmผม
khàpขับ
rótรถ
khrápครับ
khɔ̌ɔขอ
náamน้ำ
plàoเปล่า
kɔ̂ɔก็
phɔɔพอ
khrápครับ
tɛ̀ɛแต่
chonชน
kɛ̂ɛoแก้ว
dûaiด้วย
นะ
khrápครับ

今日は運転なので、お水で結構です。でも乾杯はご一緒させてください。

diiดี
ləəiเลย
khrápครับ
chai-yooไชโย
khrápครับ
yin-diiยินดี
thîiที่
dâaiได้
rûam-ngaanร่วมงาน
kanกัน
khrápครับ

いいですね。乾杯。ご一緒できてうれしいです。

à-rɔ̀iอร่อย
mâakมาก
khrápครับ
ìmอิ่ม
lɛ́ɛoแล้ว
jing-jingจริงๆ
khrápครับ

とてもおいしいです。本当にお腹いっぱいになりました。

nɔ́ɔngน้อง
khrápครับ
kèpเก็บ
ngənเงิน
dûaiด้วย
khrápครับ
wan-níiวันนี้
phǒmผม
líangเลี้ยง
eengเอง
khrápครับ

すみません、お会計を。今日は私が持ちます。

mâiไม่
tɔ̂ngต้อง
kreeng-jaiเกรงใจ
khrápครับ
chɛɛแชร์
kanกัน
kɔ̂ɔก็
dâaiได้
khrápครับ

お気遣いなく。割り勘でも構いませんよ。

khrángครั้ง
nâaหน้า
róp-kuanรบกวน
khunคุณ
sǒm-chaaiสมชาย
นะ
khrápครับ

次回はソムチャイさんにお願いします。

最後の一言に注目してください。おごりを譲らない代わりに「次はあなたに」と言って次回を作る。これがタイでの支払いの作法です。断り合いを続けるより、はるかにきれいに収まります。

会話2 別れぎわ ── 次へつなぐ

wan-níiวันนี้
khɔ̀ɔp-khunขอบคุณ
thîiที่
hâiให้
kaanการ
tɔ̂ɔn-rápต้อนรับ
yàangอย่าง
diiดี
khrápครับ
sà-nùkสนุก
mâakมาก
khrápครับ

本日は温かくお迎えいただきありがとうございました。とても楽しかったです。

yin-diiยินดี
khrápครับ
phǒmผม
kɔ̂ɔก็
dii-jaiดีใจ
thîiที่
dâaiได้
rûam-ngaanร่วมงาน
kàpกับ
khunคุณ
kheenเคน
khrápครับ

こちらこそ。ケンさんとご一緒できて嬉しく思います。

nîiนี่
khɔ̌ɔngของ
fàakฝาก
jàakจาก
yîi-pùnญี่ปุ่น
khrápครับ
lékเล็ก
nɔ́ɔiน้อย
นะ
khrápครับ

これは日本からのお土産です。ほんの気持ちですが。

ôoโอ้
khɔ̀ɔp-khunขอบคุณ
mâakมาก
khrápครับ
kreeng-jaiเกรงใจ
jing-jingจริงๆ
khrápครับ

おお、ありがとうございます。恐縮です。

rɯ̂ angเรื่อง
sǎn-yaaสัญญา
phǒmผม
จะ
sòngส่ง
ii-meenอีเมล
yɯɯn-yanยืนยัน
phrûng-níiพรุ่งนี
cháoเช้า
khrápครับ

契約の件は、明朝メールで確認をお送りします。

khrápครับ
rápรับ
sâapทราบ
khrápครับ
dəən-thaangเดินทาง
plɔ̀ɔt-phaiปลอดภัย
นะ
khrápครับ

承知しました。お気をつけて。

khɔ̌ɔขอ
fàakฝาก
tuaตัว
dûaiด้วย
นะ
khrápครับ
wáiไว้
jəəเจอ
kanกัน
màiใหม่
khrápครับ

今後ともよろしくお願いします。またお会いしましょう。ฝากตัว」── 日本語の「よろしくお願いします」に最も近い語

タイ語には「よろしくお願いします」に一対一で対応する語がありません。場面に応じて使い分けます。初対面のあと:ยินดีที่ได้รู้จักครับyin-dii thîi dâai rúu-jàk khráp (お会いできてうれしいです)。依頼のとき:รบกวนด้วยนะครับróp-kuan dûai ná khráp (お手数をおかけします)。今後の関係を頼むとき:ขอฝากตัวด้วยนะครับkhɔ̌ɔ fàak tua dûai ná khrápฝากfàak は「預ける」、ตัวtua は「身」。〔身を預けます〕という直訳どおり、これからお世話になりますの意です。日本語の「ふつつか者ですが」に近い、へりくだった響きがあります。

52-4断り方・食の制約・贈り物

酒を断る

タイの会食では酒が回りますが、日本ほど強制力はありません。理由を添えれば一度で通ります。ただし「飲めません」とだけ言うと場が冷えるので、代わりに何をするかを必ずセットにします。

phǒmผม
mâiไม่
dɯ̀ ɯmดื่ม
khrápครับ
tɛ̀ɛแต่
chonชน
kɛ̂ɛoแก้ว
dûaiด้วย
นะ
khrápครับ
私は飲まないのですが、乾杯はご一緒します。
最も安全な断り方。杯を合わせる行為だけは参加する。
wan-níiวันนี้
phǒmผม
khàpขับ
rótรถ
khrápครับ
khɔ̌ɔขอ
náamน้ำ
plàoเปล่า
khrápครับ
今日は運転なので、水にします。
phǒmผม
kinกิน
yaaยา
yùuอยู่
khrápครับ
ləəiเลย
dɯ̀ ɯmดื่ม
mâiไม่
dâaiได้
khrápครับ
薬を飲んでいるので、お酒は控えています。
khɛ̂ɛแค่
níiนี้
phɔɔพอ
lɛ́ɛoแล้ว
khrápครับ
khɔ̀ɔp-khunขอบคุณ
khrápครับ
これで十分です。ありがとうございます。
注ぎ足しを止めるとき。グラスに手を添えながら言う。

食の制約を伝える

タイは仏教国ですが、南部にはムスリムが多く、また เจjee (斎)の期間には多くの人が肉食を絶ちます。制約を持つことは失礼ではなく、当たり前のこととして扱われます。遠慮せず先に伝えてください。

phǒmผม
kinกิน
jeeเจ
khrápครับ
mâiไม่
kinกิน
nɯ́ aเนื้อ
sàtสัตว์
khrápครับ
私は菜食です。動物性のものは食べません。
khǎoเขา
penเป็น
mút-sà-limมุสลิม
khrápครับ
kinกิน
mǔuหมู
mâiไม่
dâaiได้
khrápครับ
彼はムスリムなので、豚肉は食べられません。
ráanร้าน
níiนี้
miiมี
aa-hǎanอาหาร
haa-laanฮาลาล
mǎiไหม
khrápครับ
この店にハラル料理はありますか。
khɔ̌ɔขอ
mâiไม่
sàiใส่
kûngกุ้ง
dâaiได้
mǎiไหม
khrápครับ
phǒmผม
phɛ́ɛแพ้
khrápครับ
エビを入れないでいただけますか。アレルギーがあるので。

贈り物を渡す

ของฝากkhɔ̌ɔng-fàak (土産)は、タイでは高価さより「わざわざ持ってきた」ことに価値があります。日本のお菓子は定

番中の定番で、職場で分けられる個包装のものが最も喜ばれます。

nîiนี่
khɔ̌ɔngของ
fàakฝาก
jàakจาก
yîi-pùnญี่ปุ่น
khrápครับ
これは日本からのお土産です。
lékเล็ก
nɔ́ɔiน้อย
นะ
khrápครับ
bɛ̀ngแบ่ง
kanกัน
thîiที่
tham-ngaanทำงาน
dâaiได้
khrápครับ
ほんの気持ちです。オフィスで分けてください。
khɔ̀ɔp-khunขอบคุณ
mâakมาก
khrápครับ
kreeng-jaiเกรงใจ
jing-jingจริงๆ
khrápครับ
ありがとうございます。恐縮です。(受け取る側)

เกรงใจ という感情

เกรงใจkreeng-jai は、日本語の「遠慮」「気兼ね」に近いのですが、範囲がもっと広い語です。相手に手間や出費をかけさせ

たくない、という気持ち全般を指します。タイ人が要望をはっきり言わない、追加注文を遠慮する、値引きを言い出せない ── その多くは เกรงใจkreeng-jai です。だからこちらから ไม่ต้องเกรงใจนะครับmâi tɔ̂ng kreeng-jai ná khráp (遠慮しないでください)と言ってあげることが、そのまま親切になります。逆にこちらが เกรงใจkreeng-jai を示すと「わきまえた人」と評価されます。เกรงใจจริงๆ ครับkreeng-jai jing-jing khráp は、恩を受けたときの最も自然な返しです。

会食の骨格

52-5よくある失敗

phǒmผม
dɯ̀ ɯmดื่ม
mâiไม่
dâaiได้
飲めません。
否定だけで終わると場が止まる。代案か理由を足す。
phǒmผม
dɯ̀ ɯmดื่ม
mâiไม่
dâaiได้
khrápครับ
tɛ̀ɛแต่
khɔ̌ɔขอ
chonชน
kɛ̂ɛoแก้ว
dûaiด้วย
นะ
khrápครับ
飲めないのですが、乾杯はご一緒させてください。
aa-hǎanอาหาร
thaiไทย
phètเผ็ด
kəənเกิน
paiไป
kinกิน
mâiไม่
dâaiได้
タイ料理は辛すぎて食べられない。
相手の食文化を否定する言い方。招いた側の面子を潰す。
à-rɔ̀iอร่อย
mâakมาก
khrápครับ
tɛ̀ɛแต่
phǒmผม
kinกิน
phètเผ็ด
dâaiได้
nít-nɔ̀iนิดหน่อย
khrápครับ
とてもおいしいです。ただ辛さは少しだけなんです。
まず褒めてから、自分の側の限界として述べる。

52-6ここから先へ ── 学習を続けるために

本書を最後まで進めた時点で、タイ語検定3級〜準2級、CEFR B1 に相当する土台ができています。文字が読め、声調規則が説明でき、複文が作れ、仕事の場面で最低限の交渉ができる。ここから先は量の問題です。方針を4つだけ挙げます。

① 辞書を引く習慣を、道具ごと固定する

です。

② 生の素材を1つ決めて、そればかり聞く

す。

③ 現地で学ぶなら「訂正してもらえる関係」を作る

えたら教えてください)。

④ 到達度を外から測る

☕• タイ国内では CU-TFL(チュラロンコン大学)が代表的で、就労ビザや大学出願に使われます。

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